クロコダイルファーム~南洋神社 (090617)

小さな島のワニ園
通信隊施設をあとにして、タクシーはKBブリッジを渡ります。この橋はバベルダオブ島(本島)とコロール島を結ぶパラオの生命線。本島からコロール島へ水や電気等を送っています。橋は途中でふたつの小島を結びますが、コロール島側の島はかなり大きく、そこにはクロコダイルファームを営む民間人一家が住んでいます。
ここのオーナーさんはクロコダイルハンターだったそうですが、ワニが激減してこのままでは絶滅してしまうと気付き、このファームをつくったそうです。ワニの繁殖だけでなく、町のゴミ処理場にいる鳥を狙いに来たワニたちを保護し、別の場所へ移動させるボランティアも行なっているとか(ドルフィンズパシフィックのブログ記事より)。開発が進み、住むところや餌場を追われたワニたちは、人間に殺されるリスクを冒してでも人間の近くまで来なければならないのです。日本のクマと同じだね。シーカヤックのツアーなどでは、ワニは人間が近付くとすぐに逃げてしまうそうです。
タクシーで敷地内に入っていくと、庭先でブランコに乗ったお嬢さんが出迎えてくれます。ちなみに入場料は3$。

お出迎え
犬もお出迎えしてくれます。パラオの犬は放し飼いが基本ですが、彼は珍しく繋がれている。

子ワニ
ファームで生まれた子ワニ。ファームではワニを繁殖させ、捕食者に食べられない程度の大きさに育ててから放流しています。私たちが行ったとき、飼育されていた子ワニは放流間近の一頭だけでした。この子の体長は80センチほど。これ以上大きく育ててしまうと人間からエサをもらうのが当たり前となってしまい、自然に還しても自力で生活できないそうです。

大人ワニ
ファームでは、ケガして自然界で生きられなくなったワニをの保護・飼育もしています。このワニも手が千切れてなくなってた。でもかなり凶暴。海一さん(右の手)が「ヒャッホーイ!」と笑いながらトタンの柵をガンガン叩くと(叩くなよw)柵に向かって飛びかかってくる。怖かったっす。

休憩中
でも刺激しなければご覧の通り、おとなしい。海を見ながらのんびり日向ぼっこしている。体調は5メートルくらい。

南洋神社へ
ファームを出て橋を渡り、コロール島に戻ります。
橋はバベルダオブ島の周回道路と、コロール島を東西に貫く主要道の西端を結んでいます。コロール島は市街地のある東部が平坦で、西部はわりと急峻な丘陵地帯となっており、沿道に人家は殆ど見られません。道も曲がりくねっています。そんな山道の途中を左折し、林道のような荒れたアスファルト(勾配は緩やか)を上っていくと、やがて右から下って来る道とぶつかるT字路に出ます。南洋神社の石灯籠は、このT字路の角に立っています。

参道跡1
上の写真を横切る石垣は戦後に作られたもの。石垣は参道を横切る形で作られています。石垣の奥には石灯籠の土台だけが残されていて、石灯籠と土台の位置から推察される本来の参道の幅は、かなり広いのが分かります。wikipediaの南洋神社の記事に掲載された当時の写真とあわせると、相当立派な格式ある神社であったことが伺えます。

参道跡2
石灯籠の裏側に回って撮った写真。コンクリート製の太鼓橋が残っています。上二枚の写真は奥に見える道路(主要道から左折して上ってきた道)上から撮りました。
T字路までは統治時代の道ですが、ここを直進する道も右折する上り坂も戦後に新しく作られた道らしく、当時の参道はジャングルの中にすっかり埋もれているようです。

石段
T字路を右折し、ぐんぐん坂を登っていくと、やがて左に上る道が分かれます。これは山の上にある資産家の邸宅へと続く私道。この邸宅は、南洋神社の境内だった場所に建っています。今も昔も一等地だったのね。
現在は、この資産家の御好意で敷地内に神社が再建されています。建てたのは日本の団体らしい。残っていた石段を利用して、簡素ですが立派に神社の体裁をしています。写真には写っていませんが、石段の上り口にはちゃんと鳥居もありました。狛犬の台座にはパラオと日本の国旗が刻まれています。

現在の本殿
本殿は小さいながらもそれなりに管理されています。鉢植えや造花が飾ってあって、なんだか微笑ましい。
ここは個人宅なので、当然ですがいきなり入っていくことはできません。許可をとらないと、番犬たちが放し飼いにしてあるので危険!(でもこいつらすっごく人懐こいんだよね…大丈夫なのかw)私たちは海一さんが一緒だったので、すんなり見学できました。現地ツアー会社の人によれば、日本人観光客ならばまず問題ないとのこと。問題があるとすれば、私道への入口にインターホンもなんにもないことくらいか…。タクシーで行くのが確実かな、やっぱり。